かわさき歯科

マタニティ歯科

妊婦と歯の治療

マタニティ画像

妊婦の方が、歯の治療を受けられるときに胎児に影響を及ぼす要因としましては、
(1)胎児の発育段階
(2)レントゲンの影響
(3)薬の影響

の3つです。

胎児の発育段階におけるリスク
(妊娠時に何時歯の治療をしたら良いのか?)

妊娠12週までを器官形成期といい、特に、妊娠4~8週の間に、脳・神経・心臓・血管・消化器・四肢といったからだの主要部分が形成されますので、胎児にとってはこの時期が最も危険な期間になります。
妊娠12週を過ぎると奇形などの胎児に対する危険はかなり減少し、胎盤もほぼ完成するため流産の危険も少なくなりますし、また妊娠後期になりますと治療による痛みなどが契機となり早産の危険が生じてきますので、妊娠4ヶ月~7ヶ月を安定期としてこの時期の歯科治療をお勧めいたします。

当院での治療の流れ

当院では、

1)妊娠4~8週は、特に慎重に治療に当たり、12週まではできるだけ診査・治療計画とブラッシング指導にとどめています。

2)12週を過ぎると、歯の治療を積極的に行っていきますが、レントゲンや投薬が必要になる治療は、妊娠5ヶ月以降に行います。

3)8ヶ月以降は、早産の危険があるので、それまでに歯科治療を終えるように治療を進めていますが、それ以降も治療の必要性があれば、治療を行います。

妊娠後4~7ヶ月という治療期間は虫歯がたくさんある場合は終了できないこともありますので、歯に不安のある方は妊娠が分かりましたら3ヶ月以前に一度診察にお越しください。

しっかりとした治療計画に基づいて、安心して出産が迎えられるよう治療を進めて行きます。

レントゲンについて(妊婦とレントゲン)

当医院では基本的に、妊婦の方に対してのレントゲン撮影は行ないません。
どうしても必要な場合には、患者様の了解を得た上で、放射線を防ぐ鉛のエプロンを装着していただき撮影を行うようにいたしております。

歯科で用いる薬について(妊婦と薬)

歯歯科で用いる薬の主なものは 1)麻酔薬、2)抗生剤、3)鎮痛剤 の3つとなります。

1)麻酔薬
歯科で用いる麻酔薬は、麻酔自体の効力を生じるリドカインと麻酔の効力を増強させるエピネフリンからなっています。

リドカインについては、今のところ胎児に対する悪影響の報告はありませんので規定量を守る限り問題ないと思います。

エピネフリン(別名アドレナリン)は、血管収縮作用があるので、大量に投与され、胎盤の血流量が減少すれば胎児に悪影響を及ぼす危険が理論上考えられます。

しかし、歯科で用いる麻酔薬では、エピネフリンは8万分の1という低濃度ですから、1.8ミリリットルの注射を1本打っても、その8万分の1のエピネフリンによって、胎盤の血流量が減少する量ではありません。

2)抗生剤
当医院では基本的に、妊婦の方にはお薬の処方はいたしませんが、どうしても必要な場合には、実際に臨床である程度長期間使用され、事故の報告が無く理論上も危険が少ないとされているものを選択することにより対応いたしております。(一般的にセフェム系の抗生剤は妊娠中の全期間にわたり危険性が少ないとされています)

3)鎮痛剤
鎮痛剤の中には服用により、胎児に悪影響を及ぼすものがありますので、当医院では基本的に、妊婦に対しての鎮痛剤の投与はいたしておりませんが、どうしても必要な場合のみ鎮痛剤を処方いたします。

カロナール(アセトアミノフェン)が、臨床上広く使用され、トラブルの報告も無いものとして、比較的安全とされています。
※ボルタレンやロキソニンなどは処方いたしません。

最後に、妊娠性の歯肉炎について説明します。

その他 妊娠性の歯肉炎

妊娠してから歯肉からの出血が多くなったという妊婦の方が時々いらっしゃいますが、これは妊娠性の歯肉炎といって、妊娠によるホルモンバランスの変化により歯肉炎に対する体の防御力が低下したためおこるもので、この場合にはより徹底したホームケア(ブラッシング)が必要になります。
歯肉炎の原因菌である歯垢(プラーク)を歯ブラシでできる限り除去し、菌の数を減らせれば、歯肉炎は治癒します。
虫歯と違い、正しいブラッシングでほぼ完治しますので、ブラッシング指導をご希望の方は遠慮なくお申し出ください。